『SHOKUNIN 職人・菅野敬一の生き方』を読んで

おすすめ 人生から受け取ったこと

2020年6月9日 更新日:

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こんばんは。
カタリスト小梅です。

自粛明けの最初の週末はいかがお過ごしでしたか?
私は仕事をしつつ海外ドラマを3シーズン観尽くし、
たまには良いかと週末をグダグダと過ごしてしまいました。
今は暑くなってきたので、そろそろ以前から挑戦したかった、
滝行の計画を練っているところです♪

自粛が外れたとは言え、まだまだ読みたい本や、観たい映画、
TV番組を総なめにしている方もいらっしゃるかと思います。

そんな私も、大好きな本を読んで過ごしている時は、
都会の一画で自粛生活しているのも忘れ、
その世界にどっぷりはまり込んでしまいます。

ゆっくりじっくり読みたいと思って向き合えておらず、
手に入れてからなぜかページを開く機会がなかった本を手に取り、
自粛期間中に一気に読破した本があります。

それが、『SHOKUNIN 職人・菅野敬一の生き方』です!

今まで手に取らなかった理由が分かりました。
それは正に今、読まなければいけなかったからです!
やっぱりそうだよな。と、様々なことを再確認させていただきました。

人生をかけて、本当にたくさんの人に出逢ってきた私ですが、
敬さんのように顔にその人の生き様が見える方が大好きです。

今日のブログでは、その敬さんとの出逢いと、
一気に読んだ本の良さをご紹介をしたいと思います。

世界で活躍する職人との出逢い

私が働くインバウンド業界のように、
今回のコロナの一件で分かりやすく影響が出た業界もありますが、
これからは、この流れを受けて間違いなく製造業の方々にも
その波紋が広がり、浮き彫りになっていくと考えられています。

私は日本の伝統工芸に興味があり、
様々な業界の職人さんとも繋がりを深めてきましたが、
私には難しい「一つのものをコツコツと長く続ける」
個々の様々な姿勢で体現する職人に会う度に、
私はいつも心底尊敬し、感動をさせてもらっています。

その中でも特に大好きな職人がいます。
その方の名前は、【菅野 敬一】さんです。

敬さんは伝統工芸の職人ではないのですが、
その細やかな技術と、一本通った芯からは彼の魂を感じずにはいられません。
私は敬さんをある信頼している方からの紹介で
お会いする機会を得て初めてご挨拶をさせていただきました。

敬さんのバックグラウンドを知る前からお会いすることになりましたが、
その方ご本人も魅力的な方なのに、その方が『格好良い職人さんがいるんだよ!』
と目をキラキラさせながら絶賛する方だったので、
お会いする前からウキウキした気持ちでした。
もちろん、お会いする前にどんな方なのかは検索しましたが、
初顔合わせで取材などではなかった為、当日どんな事をお話しできるかをイメージし、
ワクワクが止まらなかった前日の夜。

この時、ご紹介いただいた方のご都合が悪くなったので、
私はなんと敬さんと1対1でお話しする機会を与えられ、
先に工場をご案内していただいた後、長らくお話をさせていただくことができました。

工場には大型の金属を加工する機械が並び、
その中を一通りご案内していただきながら、
加工の終わった作品を手に取り、どういうところがポイントなのか、
そして作るのが難しい部分なのか等、丁寧に教えていただきました。
それまで金属加工は豪快なイメージがありましたが、
その時に、とても繊細で緻密な作業を伴うものなんだなという新たな発見がありました。

敬さんはその前情報にたがわず、豊かな森の様な雰囲気が本当に格好良い方で、
人としての芯と男らしさがあり、その上に人に対する尊敬の姿勢が見て取れます。
とにかく人そのものの魅力に溢れる方でした。

そして仕事のこと、職人としての姿勢や技術に対して真剣にお話している時のお顔と、
遊びや趣味、すきなことを話している時の屈託ない笑顔のコントラストがまた良い!
こういうオンオフのギャップが、敬さんの魅力を高めているんだなと感じました。

その後日、お招きをいただいて手料理を振舞っていただいた時の一枚。

ご友人ともどもみんなで敬さん特製フルコースを堪能し、
美味しいお酒を飲み、とても豊かな時間を過ごしました。
私は途中、スパークリングワインにやられて離脱しましたが。。(勿体ない!)

でも本当に心づくしのおもてなしをいただき、とても素晴らしい時間だった。
男前な上に、お料理の腕とその独創性も格別です♪

『SHOKUNIN 職人・菅野敬一の生き方』を読んで

この本では、なぜ敬さんから男気がにじみ出ているのか、
世界の著名人を惹きつけてやまないエアロコンセプトの製品ができたのか、
それらを敬さんの言葉を通して受け取ることができます。

一度敬さんから、この本を書いた髙久 多美男さんの事を話していただきました。
敬さんと、その作品に惚れ込み、長らく敬さんを追いかけ、
真剣に敬さんの気持ちと想いに耳を傾け、この本を書いた方。

私が敬さんの言葉から感じたのはその方への”信頼”です。

だからこそ、この本には敬さんの飾らない言葉と、
その言葉や姿勢を客観的に見た髙久さんのコメントで
受け取りやすくなっているのだなと感じました。

この本を書いた髙久さんは、
長らく【Japanist】を編集長として形創ってきた方なので、
その描写も、職人に対しての理解度も長けているのだと知り、
私は最終号を取り寄せて読んだ上にメールでやり取りをしました。
そして髙久さんにお会いしてゆっくりとお話を聞きたいという目標ができ、
こういう記事を書けるようになりたいと感じました。
格好良い人の近くには、やはり格好良い人がいるのです。

そしてこの本の本当に素晴らしいのはその写真です!
敬さんの工場でも、作品を撮った写真をいくつか見せていただきましたが、
その作品を心底大切にしている想いが伝わってきます。
それと果てしないこだわり。

アングルや、背景や、色合いや風合い、影の入れ方に至るまで、
そのものの美しさを引き出し、そのものへの愛情が溢れています。

こんな写真を撮れるようになったら最高ですね♪
撮る時のそのものに対する姿勢だな、やっぱりと実感。

本の最後には敬さんがイタリアとフランスで撮った
「菅野敬一写真館」なるものが掲載されていますが、
カメラが好きだという敬さんの言葉を体現するような写真ばかりが載っています。

写真のすきなところは、
その人が美しいと思って切り取った風景が、自分の視点と全く違ったり、
同じものを美しいと思っても、撮った写真が全く違う構成になるところです。

添えられている
『訪れた先々で、心が揺れると、すかさずシャッターを切る。』
という一文も良かった♪

そう、写真は誰でもが撮れるものになってしまいましたが、
誰しもが”心が揺れる”ものを見つけ、上手に切り取れる訳ではないんです。

あまりご紹介するとネタバレになってしまうのでこれぐらいにしておきますが、
私はこの本が自分の家にあることが嬉しいです。
本を開けば、観る時によってその写真の見え方が変わったりもしますし、
何より、本から受け取れることを再確認できますからね♪

私が受け取ったこと

私は敬さんの作品が大好きですが、私が持とうとは思いません。
私が持つというイメージがどうにも湧かないからです。
でも、相方Aに是非とも持ってほしい!というものを見つけました。

それはマネークリップです!

私が欲しいと思ったのは、革をターコイズブルーに染めているもので、
皮をあんな色に染められるなんて!と一目惚れ。
こちらはワニの革を使った別の作品ですが、
この金属プレートの穴はそのものを軽量化させ、
尚且つその耐久性に配慮した絶妙なバランスとなっています。
そこに潜む職人技と、革の染め具合と色合いが正にツボだった作品です。

こういう、持つ人の毎日に彩りと品格を持たせる物を贈りたいですよね。

都内では、GSIXに入っている銀座蔦屋書店代官山T-SITEにも入っています。
どちらも展示の仕方に対するこだわりがそこかしこに見られ、
販売するモノの職人にも実際に会いに行くと言う徹底ぶりで、
落ち着いた空間にそのセンスが感じられるお気に入りの場所です。
エアロコンセプトもその美しさを活かした展示のされ方なので、
是非とも足を運んで、実際のモノを見て感じてみてください。

そしてグッときたのはこちらのリングができるストーリー!
こちらは指輪について語る動画があるので、是非ともご覧ください。
お互いを認め合った大人の男性が大好きなものを語る素敵な動画です♪

私もストーリーのあるものを身に着けたり、持つことのできる人になりたいです。

敬さんの作品の魅力は、本当にシンプルに
「死ぬまでに、自分が欲しいモノをつくろうと思った。」
というところにあります。

そこを突き詰める事のできる技術とこだわり、
そして卓越したセンスがあったからこそ、
世界の名だたるセレブを惹きつけました。

そして、いくら誰もが知っているブランドや売り手から、
こうすれば売れますよと言われたことを断固としてしなかった。
それは”自分が欲しいモノではなくなる”からです。
コンセプトそのものが変わってしまう。

もちろんそこを柔軟に合わせれば、需要が増えてお金を生むことができるでしょう。
でも、きっとそれで受け取ったお金を持っても幸せにはなれなかったはず。
大事なのはそこではないと、人生の経験から学んでそこに至った敬さんの生き様に、
なぜ?の答えが隠されています。

私も器用に生きられる方ではなく、時折迷うこともありますが、
敬さんのように様々な経験を積みながら歳を重ね、
それでも屈託なく笑えるなら良いと思っています。

本の中で敬さんの師匠が敬さんの創った鞄を見て言った、
『このカバンには森や川が見えるし、土の匂いがする』
という言葉も素敵だったな。

自然の中で過ごすことを愛する敬さんが、
一見自然とは無縁の様な金属の鞄を作っているのにも関わらず、
その無駄のない曲線や美しさに自然を見出すことができる。
自然には全てある。
それを自分の作品に落とし込むことができる技術を持った職人なんですね。

私は、日本の伝統工芸だからその技術と伝統を、
そしてその製品そのものだけを残したいと思っている訳ではありません。

私が残したいと思っているのは、その職人の気概や背景、
そして日本人としての自然との向き合い方、そのものが生まれたストーリーです。
つくり方や歴史は残す方法はあります。
でも、その人が長年そのものに向き合って受け取ってきたものを、
その方々がいなくなった時、全てを後世に残すことはできません。
それが無に還ってしまうのが、本当に勿体ないと感じるのです。

今後本気でそれを学びたい、それを創りたいという人が出てきた時に、
現在の私達がそれらをまた一から積み上げることができるでしょうか?
私は簡単に再現できるものではないと思います。

その時代の人、その時代の背景、その時代の材料、
その時の職人の力量によって学び、気付き、形にするものは変わっていきます。
同じものはできません。
でもその基礎を持って、
その時代に合わせた美しさやその人個人の個性を反映させる事は素晴らしいことです。
だからこそ、その礎が何なのかを、受け取れるように整えておきたいのです。

今、今回のコロナの一件で、
物の価値や、生き方や、資本主義で生まれたひずみや、
そういった現実が全世界的に見直される時がきていると感じています。

日本が金額が安くなるからと日本の製造業界やものづくりの技術を無下に扱い、
海外へと拠点を移していったそれらの結果が、
今の日本の製造業の衰退と、日本のものづくりの地盤を揺るがしたこと。
そしてその弊害に直面することになりました。

でもその事を今更掘り起こして言及してもその事柄は変わりません。
この現状を受け止め、これからどうしていくかを真摯に、そして創造的に考え、
行動していくことが大切であると感じます。
その絶妙なバランスを、日本人として模索していきたいと思っています。

私は6年間の海外生活と、人生を通して出逢ってきたたくさんの方々を通して、
日本人が、そして日本が持つこの地球での役割と言うものを感じました。

世界規模の比較が行なわれるようになってやっと、
日本人が世界のニュースに耳を傾けられるようになりました。
それは一つのテーマである為に分かりやすく比較できるからではありますが、
私達が忘れていたこと、人任せにしていたこと、自分の身を顧みていなかったこと、
そんなことが浮き彫りになってきています。

今一度大切なことに立ち返り、一人一人が生活の見直しと、
何を次世代に残していかなくてはならないのかを考えられると良いですね。

その時に、『SHOKUNIN 職人・菅野敬一の生き方』を読むことは、
あぁ、そうだよな。自分が大事にしていきたいのはこんなことだよな。
という事を思い起こさせてくれる、とても良いきっかけになると思います。

今の私の夢の一つに、敬さんと森に入り、
渓流釣りをしている敬さんを横目に、私は自然を堪能する!があります。
そしてやっぱり夜は美味しいご馳走を囲み、地域の人達と交流する。
そういう未来をイメージし、それを実現させる為に
今自分がするべきことを地道にやっています。
心底逢いたいと思える人が、自分の身近にいるというのは幸せなことですね。

あなたが今、心底逢いたい人は誰で、心底やりたいことは何ですか?
今、それを実現する為にやっていることはありますか??

この問いが、あなたを少しでもワクワクさせるきっかけとなりますように。

小梅

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小梅 koume

人と人、人とものごとを繋ぐカタリスト。 オーストラリアを中心に6年間の海外生活を送り、現在は東京を基盤にインバウンドメディアとインバウンド専門カスタマイズツアーを提供するJapan Travel K.K.で仕事をしています。 ブログを読んでいるあなたと共に人生を楽しみながら、#日常を輝かせるTipsを共有できるメディア創りを目指します。 人生禄を綴った「note」の記事はこちらから→ https://note.mu/mt_koume

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